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漁業
地域の食材を提供する高齢労働者
韓国産混入の宮城産カキ
中国の漁業の脅威
漁業の競争社会で考えること
祝日法
許可の更新と沿岸組合
宮古漁協は吸収合併される?
岩手県漁連、水産振興課、漁港漁村課
密漁の手口
沿岸漁業の基本は地先海面優先主義
エチゼンクラゲ
漁業無線が危ない
付加価値?
漁協合併
HACCP
水産物貿易自由化と資源管理問題
ウニが安いと思うわけ
アサリの被害
魚を食べれば長生きする
地域の食材を提供する高齢労働者
少量に獲れる魚貝類は、高齢漁業者または婦人漁業者が供給している。
彼らの漁業は商売として成り立っているわけではなく、その収入で生活するにも少なすぎる。
しかし、彼らは、地域社会に対して大きな貢献をしているのだ。
彼らの存在よって、零細な鮮魚販売店は成り立っているし、地域全体の食の多様性も維持されている。
漁業に限らず、農業もそうだろう。
宮古市の魚菜市場に行けば、そのことがよくわかるのである。
多様な食材を支える漁業と言えば、夏定置網漁業もそうだ。
夏網はほとんどの定置網で赤字である。
しかし、効率主義が過ぎれば、夏網はなくなるだろう。
また、沖合い底曳網漁業も多様な食材を支えている。
当サイトでは、そのやり方を散々批判しているが、大型まき網漁業と違ってこの漁業を「完全に無くせ」とは書いてない。
適切な漁場管理をすれば、十分やっていけるものだ。
釧路地区では操業海区を地元で自ら定め、他の漁業といっしょにやっている。
どの漁業でも高齢化は進み、このままいけばすべての食材は、高齢者が供給することになる。
その後はどうなるのだろう?
(2002年4月15日)
韓国産混入の宮城産カキ
食肉の偽装事件が頻発していますが、宮城産のカキに韓国産のカキが混入されている、という報道が、5月8日付「河北新報」に掲載されました。
岩手日報には何の報道もなく、たまたまその日に限って河北新報を読んだわかっただけの話ですが、他の地方でも、このような事件は起こっているのかもしれません。
水産物も偽装はたくさん行われているのかな、って思えてきます。
以前、親戚が私の家に遊びに来たときです。
たまたま獲りたてのカキを近所の養殖漁家からもらい、それを生で食べてもらいました。
その親戚も漁師ですが、それまで生ガキを旨いと思ったことがなかったそうです。
私の家で食べて、はじめてカキを旨いと感じたと言い、それほど市場に出回っているカキは美味しくないようです。
私が実際に買って食べた時はマズイの一言で、もう買って食べたくありません。
10年ぐらい前ですかね、私のところでもカキ養殖をしていました。
カキは旨いものだと思っていましたし、そのような鮮度の良いものしか食べたことがなかったのは事実です。
したがって、私が市販のカキを食べてマズイと思うのは、無理がないのかもしれません。
カキの生食用販売は滅菌処理しています。
加工用販売は滅菌処理をしていません。
滅菌処理をするとどうしても味が落ちます。
私が食べれば確かにマズイ。
現在でも鮮度が良ければ、滅菌処理しないで生で食べても、食中毒にはなりません(保証はしませんが)。
実際に養殖漁家から頂くものは、処理していませんし、それでお腹を壊したことは一度もありません(あまりに美味しくて食べ過ぎによる腹痛はあります)。
いくら滅菌処理しても鮮度の悪いものはダメで、逆に滅菌処理しなくても鮮度が良くて、その辺の海水(岩手も海水はまだまだきれいです)で洗ったものは大丈夫です。
それを不衛生に感じる方は、生の味を賞味できないと思います。
最近、HACCP導入で衛生管理が厳しくなっています。
これは加工・流通・販売業者の怠慢からくる食中毒事件に端を発し、水産業界が危機感を感じて取り組んだものです。
しかし、必ず食中毒は起こると思います。
なんとなくですが人間の体の方が弱くなっているのではないかと思います。
これだけ衛生環境の良い日本だけが、O157で騒がれるのは不思議です。
恐らく私が普通に生で食べている同じものを他の人が食べて、お腹を壊す人がいるのではないでしょうか?
さて、韓国産のカキ混入に話を戻します。
石巻地方の3漁協の指摘で出た疑惑で、一部業者から自主的に事実を認める申し出があって明らかになったようです。
この業者の場合、混入ではなく全量すり替えで、すなわち生産地表示の偽装。
宮城県かき出荷協同組合連合会三浦勇理事長のコメントは、非常に理解に苦しみます。
偽装が始まった理由が、15年ほど前からはじめたカキむき作業の週休2日制と、年末年始の長期休業のために、仲買業者が安定供給できなくなったためである、としています。
しかも、韓国産と表示すると売れないから、偽装したのだそうです。
最後にこの三浦理事長の「再発防止策」を転載します。
安定供給できる生産体制づくりが最優先だ。これが解決されれば、すり替えはなくなると思う。消費者の信頼を回復していくためには、安全で安心なカキづくりに生産者と仲買業者が一体となって取り組んでいくことが必要だ。
(2002年5月8日付「河北新報」)
つまり、カキ生産者が休まずに安定供給しなければ偽装はなくならない、ということでしょうか!
しかし、生産者だって休みたいですよね。
何の理由にしたって、偽装は許されません。
三浦理事長はやめるべきではないでしょうか。
8日付の三浦理事に対する一問一答を読めば、本当にそう思います。
なお、転載に関してですが、新聞のバックナンバーを他県の人間が手に入れるのは簡単ではないという理由から一部引用しました。
ネット上の河北新報のページも毎日更新されていますから、もうこの記事を見ることは難しいでしょう!
ぜひとも、関係者は見てほしいです。
9日付「河北新報」では、仲買業者が宮城県に対して韓国産輸入カキの届け出をした取扱量がかなり少ない模様。
前日の偽装は加工用としていたが、生食用として販売された疑いもあるといいます。
まるで生産者をバカにした行為で、宮城県のカキ生産者は仲買業者に食い物にされ、しかも消費者に対する信用も同時に失いました。
金儲けをするにも限度があります。
(2002年5月10日)
中国の漁業の脅威
まず最初に、古い資料を持ち出します。
「漁村」という漁業雑誌で、ES水産研究所の境一郎氏が連載している「沿岸漁業への夢を描いて」の第87回「日本の漁獲量の五倍となった中国のナゾ」からです。
以前は日本が漁獲量において世界一になった頃がありましたが、1988年以降は中国がずっと世界一の座についています。
日本の沿岸漁場整備開発事業が1974年に制定され、沿岸漁場の生産力増進を目的としました。
200海里の時の1976年から1996年の20年間に1兆600億円かけ、コンクリート、鉄材を中心とした人工漁礁を中心に事業展開してきましたが、沿岸漁業生産量は、この事業開始当初1976年の200万トンから1997年の178万トンへと落ち込みました。
これに対し、中国のそれは、1976年の460万トンから1996年の3,750万トンへと急増しました。
日本でコンクリートや鉄の塊を海に沈めている間に、中国は何をしたのか?
中国では国策として、戦前日本から移植したコンブ養殖による大規模藻場海中林を全国展開したようです。
筆者の境氏は中国最大のコンブ生産地である大連や山東省に行き、沿岸から沖合い15,000mまで広大に連なるコンブ養殖の規模と、日本最大の噴火湾養殖コンブの規模を比較して、そのスケールの大きさに驚いたといいます。
確かに15km沖合いまでとなると日本では考えられません。
山東省だけで日本の全コンブ生産量の12倍。
しかももともと海道産コンブを南でも養殖できるように品種改良も行い、福建省などの亜熱帯海域でも平気でコンブ養殖しています。
ちなみに福建省は夏は40℃、冬は12〜13℃だそうです。
中国の海藻生産量は1988年の164万5,000トンから1996年の557万2000トンと3.4倍に増大しており、それに対し日本は80万トンから67万4,000トンと減少しています。
中国の漁獲量はこの同じ18年間で3.6倍に増加していて、コンブ増産の3.4倍とほぼ比例しています。
(「漁村」平成12年3月号)
どうしてコンブ養殖で漁獲量が増大したか?
コンブは炭素同化作用による酸素放出で海中の溶存酸素を増大させ、さらにアンモニア・リンなどの栄養塩類の分解による水質浄化をします。
コンブの成長は極めて早く、したがって、これらの作用が早く行われるわけです。
そのため、海中資源の育成、つまり稚魚、稚貝の育成に好条件となり、さらに、コンブ養殖の時期と小さな魚介類の育成時期とがちょうど重なります。
深い海に棲むタラ類、マグロ、イカなどの大量捕獲魚も、産卵は浅い沿岸域で行われます。
また、カキ、アサリ、ホタテなどの貝類も春先に産卵し、海藻類に付着して大きくなるそうです。
コンブは種の多様性にも貢献し、ご存知のようにアワビやウニなどのエサにもなっています。
このように、コンブ養殖の利点を最大限に生かした中国の漁業政策と日本の政策との違いが、漁獲量にはっきり表れてしまいました。
地形的、気象的に考えて、中国とまったく同じにはできませんが、中国のコンブ海中林造成は、持続可能な生産体制であることは間違いありません。
この境氏はコンブ養殖の利点を「漁村」の連載でたくさん提言しています。
温暖化の原因とされる炭素の固定も、コンブが担えると主張しています。
次に、昨年度版の「地球白書」からです。
中国では内陸の500万ヘクタールほどの土地が、養殖のためだけに使われていて、170万ヘクタールの水田では、コメと魚が一緒に生産されているようです。
中国の水産養殖は、農業と結びついている場合が多いようで、農業者はブタの排泄物のような農業残滓を養殖池の栄養分に活用して、プランクトンの育成を促しているとのこと(これ、ほんとうかなあ?)。
また、土地や水が乏しくなるにつれ、養殖を手がける農民は、池の生産性を上げるために、穀物を原料とする濃厚飼料を増やすことで増産に努めています。
養殖池1ヘクタール当たりの魚の年間生産量は、1990年から96年にかけて、2.4トンから4.1トンに増加したとのこと。
ここで、アメリカのことも少し。
アメリカの水産養殖のトップはナマズ。
ナマズは生体重を1キログラム増やすのに、わずか1.8キログラムの飼料しか必要としないらしく、非常に効率がよい養殖魚とのこと。
日本が学ばなければならない世界の漁業は、ほかにもたくさんあるはずです。
すでに宮古市近隣の漁協では、中国のワカメ養殖を視察に行ってきており、その規模の大きさに驚き、対抗するには高品質の製品しかない、と自覚しています。
世界に学んで戦略を立てるのは当然のことで、驚いているだけでなく対抗、実践あるのみですね。
(2002年5月14日)
漁業の競争社会で考えること
漁業は競争社会ですが、それでもやはり助け合うことは普通のことです。
一部、岩手県県南のほうで、養殖漁業の協業化の試みがありますが、養殖漁業はたいていは個人でやっています。
個人ですることには限界があり、たとえば養殖棚の移動、時化対策、復旧作業などは協同作業です。
漁船漁業も沖合いでのさまざまなトラブル、事故の際は当然助け合います。
漁の模様交換(情報交換のこと)もして、よりよい漁場の探索をしています。
しかし、です。
すべての漁業者がうまく漁獲できたら、当然漁獲物はあふれて、魚価は下落します。
私は漁船で漁をしていますから、漁船漁業を例にして書きます。
漁をしていれば、大漁の時もあれば不漁の時もあります。
だから魚価は比較的安定するのであって、ほとんどの漁師が大漁であれば、魚価は確実に下がります。
魚価の上昇・下落が天候にも左右される事は言うまでもありません。
悪天候続きだと在庫がなくなり、高値となります。
しかし、冷凍技術が発達し、それに加え、水産物の貿易が活発になるにしたがって、魚価は国内の漁不漁に左右されなくなってしまいました。
ここで漁師の本音を書きます。
外国の水産物の不漁を、国内の漁師は願っています。
そうすれば特に鮭関連産業などはそうですが、国内の魚価は跳ね上がります。
さらに競争社会ですから、心の奥底では「他の船が不漁でも自分は大漁したい」「そうすればガッポリ稼げる」と思っているのです。
船頭によっては漁模様の駆け引きもします。
微妙な模様の出し方をして、実は大漁だったとかいう話はよくあります。
言葉は悪いのですが、ある程度、他船の失敗を願っているのが、各船頭の本音だと私は思います。
で、これは、オカの競争社会にも同じ事が言えると思います。
誰かが儲け、誰かが損するゼロサム社会では、やはり競争にさらされている人間は、他人の失敗を少なからず願っています。
テレビドラマでも、社内競争のライバルの追い落としなどをよくやっていますよね。
「助け合わなければならない」と口では言っても、この日本、あるいは世界中の人々は、目の前の人と「競争」しているのです。
ここで思想を持ち出しますが、社会主義的な思想のほとんどは、この現実に悩んでいると思います。
人間誰しもご飯を食って生きていかなければなりません。
社会に組み込まれた歯車の一部でしかない私たちは、やはり自覚しなくても他人を「蹴落としている」のでしょう。
まあ、ほとんどの人が、このことは心の中で考えている事だと思います。
そう考えると「助けあい」という言葉が、少し偽善がかってきますよね。
(2002年8月26日)
祝日法
祝日法は字のとおり、国民の祝日を定めた法律です。
このうち「成人の日」と「体育の日」は平成10年の「法律141」で、1月と10月の各第二月曜日と変更されました。
つまり、法律141は、連休を増やす法律です。
サラリーマンその他の労働者には歓迎(?)されるものだろうと思いますが、生鮮食品を生産する業者にとっては、歓迎されるものではありません。
休日の次の日は、市場価格はたいてい高い。
鮮魚の場合を書きますが、月曜日の単価が普通の平日の2倍になることはよくあります。
あるいは悪天候による休みの次の日は値段は高騰します。
逆に凪が続くと、平日の魚価はどんどん下がり、漁が続けば暴落します。
連休すればどうなるか?
実は連休をしてもそれほど単価は上がりません。
上げるにも限界があるようで、連休したからといって3倍することはまずありません。
3連休しても3倍もしません。
ゆえ、従来の飛び石連休のほうが、かえって鮮魚市場にとっては良いのです。
平均的な(この言葉を使っていいのかどうか分かりませんが)日本人は、休日に一斉に休んで、行楽に行くとか、ショッピングをするとかします。
連休になると、対象の地域は客でごったがえしになり、行っても人ばかり見てきたということもよく聞きます。
この休日のとり方を考え直して、会社側が各自のある程度自由な裁量を認め、休みを日曜日に限定せず、交代に休むようにすれば、行楽地の混雑などはある程度減少します。
渋滞の解消にもなるでしょう。
年中無休の飲食店などは、従業員をそのように休ませていますし、需要の急激に増えた産業が、連休返上で仕事をし、後で休む、いうのもよく聞く話ですから
、できないはずはありません。
労働基準監督が厳しくなった現在、無理に国の定めた休日に休まなければならないというのは、無用な考えではないでしょうか。
これらを考えると、公務員とか市場関連産業と関わりのない職種のために、祝日法はあるのかもしれません。
たとえ、正月中でも末端の産業は動いていますから。
また、休日の客を受け入れる側も、どっと客が来るよりも、休みが分散されて安定して来客があり、収入も安定するほうが良いのではないでしょうか。
「祝日法」を検索したら次のような祝日も出てきました。
「昭和天皇の大喪の礼の行われる日を休日とする法律」
「即位礼正殿の儀の行われる日を休日とする法律 」
「皇太子徳仁親王の結婚の儀の行われる日を休日とする法律 」
恥ずかしながら知りませんでした。
たぶん私は休まなかったと思います。
記憶にありません。
(2002年12月17日)
許可の更新と沿岸組合
今年は一斉に、岩手の小型船が、さまざまな許可の更新をする年です。
岩手県では、沿岸漁船漁業組合に、漁法別の部会が作られ、自主的な組織として出発しました。
以前は、県漁連の一部の人間たちによって「独裁政治」が行われていて、それゆえ理不尽な法律がまかり通っていましたが、この沿岸組合がしっかりすることによって、本当の漁業の民主化が達成できると期待しています。
たとえば、イカ釣り部会は、昨年の反省から、すでに細部の規約変更も行います。
昨年、休漁設定を厳しくしすぎ、結局は自らの首をしめる結果となっています。
その最も大きな要因は、昼イカの普及が岩手において発展途上であること、そして、何といっても沖合底引き網漁業との競合です。
片方が強烈に休漁設定を設け実行しても、大臣許可の沖底漁業が毎日海底をゴリゴリ削りながら、イカをとっているわけで、休漁設定の目的に意味がなくなります。
秋から冬にかけての季節は、天候も不順となり、長期間、沖に出られないことも増えてきます。
その時期にクソ真面目に休漁しているのでは、自分の首をしめるだけです。
今年の岩手は恐らく、全国の休漁設定には応じず、独自に休漁するでしょう。
それで問題が大きくなるなら、それはそれでいいでしょう。
そのほうが、沖合底引き網漁業の問題を大きくできるからです。
規則を作るにあたって、まず「守られない規則は作るな」というのが、大原則です。
これは綾里のある船主さんが、私に言った言葉で、この方はイカ釣り部会の役員を務めています。
全くその通りで、これはつまり、「自分たちの首をしめるような規則は作るな」ということです。
最低限の規則だけを作り、あとはうまくやっていく。
漁師同士は、顔を見たり船の姿を見らりして、お互いを知っています。
かなり悪いことでもしない限り、強硬な態度で対立することはありません。
でも、まあ、あるかもしれないかなあ?
それはそれで、その時にまた考え直せばいいだけですね。
少なくとも、「自らのことは自分たちで決める」ということができるようになったのは、岩手の漁業界にとって、かなりの進歩です。
この沿岸組合の部会設立にあたって、事務局の苦労はかなりあったと思います。
ご苦労様でした、と、ここで言わせてもらいます。
(2003年4月5日)
宮古漁協は吸収合併される?
国では、漁協合併を推奨しています。
それに従い、岩手県でも、段階的合併が計画されています。
東北では、山形県がすでに1県1漁協であり、いずれ岩手県も岩手県漁協になることでしょう。
宮古市には宮古漁協と重茂漁協があり、田老町には田老漁協があります。
この3漁協が最初に合併するかもしれません。
宮古漁協の組合員の年代構成はひどいもので、40代で貴重な存在です。
私の年代である30代と20代という年代は、絶滅の危機に瀕しています。
ところが田老漁協は若い人がいます。
重茂漁協は年配のかたよりも若い人のほうが多いかもしれません。
10年後はわかりませんが、20年後、宮古漁協の組合員数(人数だけは現在の日本でも有数の大漁協)は激減し、相対的に重茂漁協のほうが多くなります。
吸収合併されます。
もし、20年後に合併するとしたら(それほど悠長ではありませんが)、宮古漁協は重茂漁協に吸収合併されるかもしれまんせんね。
それほど宮古漁協管内には若者がいないのです。
オカの上の合併は、主に経費節減、「体力強化」に理由があるわけですが、漁協の場合、組合員減少が最も大きな理由になるでしょう。
(2003年4月24日)
岩手県漁連、水産振興課、漁港漁村課
私は前から、県漁連に対する一つの単純な疑問がありました。
岩手は県庁所在地が盛岡という内陸にあり、さまざまな機関が県庁所在地に集中するのは仕方ないことですが、しかし、どうして県漁連という民間組織が盛岡にあるのかは、非常に疑問に思うことです。
どうして、海のある沿岸ではなく、海のない盛岡にあるのか?
県漁連はご存知の通り、県内各漁協の連合会で、本来は各漁協が県漁連の大株主なわけですが、その地位は逆転しており、また、国の1県1漁協構想もあり、ますます県漁連の力は大きくなろうとしています。
漁協は漁業者の意思が第一ですが、その統括組織である県漁連が漁業者の所在地から遠いところにあるというのはいかがなものでしょう(ムネオ風)?
また、県漁連が盛岡にあることから、何を勘違いしているのか、理事の中には、盛岡に行くことがエライことのように思っている人もいるほどです。
全くアホらしい。
情報通信網が発達した現在、伝達事項はすべてハイテク通信を使うことで解決します。
もっとも重要な会議などは、どうしても構成員である漁業者の声が必要です。
沿岸に県漁連があれば、たくさんの人の声も反映されますし、また、一部の人間だけの密室政治もなくなります。
過去において、この密室政治が公然と行われていたのは周知で、それゆえ、漁民の大団結で県漁連会長がクビになったのはつい最近のことです。
現在の密室政治に近いものといえば、やはり沖合い底曳網漁業との海区調整問題です。
この問題でも盛岡を非常に遠く感じます。
ちなみに同じ東北6県で県庁所在地が内陸にある県は、他に山形県と福島県ですが、山形県漁連は酒田市に本所があり、福島県漁連もいわき市にあります。
こんな馬鹿げた県漁連組織は岩手だけです。
漁業調整問題は、県の許可とも関係があり、許可に対する申し立てもいちいち盛岡まで伺いをたてなければなりません。
水産庁からの通達、県からの通達などに不満があるときや県の水産行政への要望なども、いちいち盛岡まで行ってしなければならないのが現状です。
「各地方振興局があるじゃないか!」と思う人は振興局に行ったことのない人。
単なる出先機関で、県からの通達のみ受けることが何と多いことか。
県からの通達に不満があって不服を言いに行っても、「上からの通達で何とも・・・」という回答を受けます。
岩手の水産行政のトップは、水産庁からの出向者です(今でもたぶんそうだと思います)。
その人が沿岸のごく身近にいれば、漁業者の生活と肌で感じることができるでしょう。
私自身はそのトップを少し教育してやりたいくらいです。
重複しますが、事務通達はすべて通信で処理できます。
ですから、現在ある県の水産関係の部署も、農林水産部から分離し、沿岸に移すべきです。
今の組織ですと、水産振興課、漁港漁村課がその対象です。
盛岡には議会用に何人かと、内水面漁業の課があればいいだけです。
簡単ですよね。
(2003年5月8日)
密漁の手口
先日、ある方から最近の密漁の手口を聞きました。
アワビです。
本県にアワビがたくさんいるのかどうか知りませんが、かなりの数のアワビが密漁されているようです。
何と、その手助けをしているのが地元漁師だ、という話には驚きです。
密漁者は漁師ではなく、ある業界の人たちです。
その密漁者たちは目的の獲物がたくさんある地域の地元漁師、それも若い人と仲良くなろうとします。
これが第一段階。
なぜ、若者か?
その仲良くなろうとする手段が若者向きの方法で、飲みに誘うのだそうで、それから友達になるようです。
第二段階はその飲み友達から、目的の獲物のたくさんある場所を聞き出すようです。
若いうちは自慢話をしたいんですね(若くなくても自慢話をしたくてしたくてたまらない人もいる!)。
それを密漁者たちは利用するわけで、地元の競争相手ではなく、関係ないと思われる相手であれば、舌の軽い人などは簡単にペラペラ教えるようです。
密漁者たちは第三段階として、聞き出した情報を元にし、アクアラグを用いてごっそり。
仲良くなりすぎて、情報提供だけではなく、漁師自らが密漁の手助けをしている者もいるのではないか、と疑っている人もいます。
密漁の逸話を二つ。
まず一つ目。
ごっそり獲ったアワビをトラックに積んで、八戸方面に運ぶ途中、情報をつかんだ警察が、そのトラックを追跡し停止させようとしたところ、密漁仲間の車が邪魔に入り、トラックが警察を引き離したそうで、そのすきに積んであったアワビとアクアラグと全部道路に捨て、これで現行犯逮捕は逃れたといいます。
積んであるという証拠を確実に証明できない以上、停止して調べても検挙できませんものね。
きっとアワビの匂いはしたでしょうけど。
道路のアワビはどうしたんでしょうね。
警察でアワビパーティーでもやったのかしら?
まさか。
やってる、って?
オカのアワビパーティー?
昔、やったってのは、聞いたことがあります。
二つ目は、密漁者から裁判を逆に起こされたケース。
県南の方で、夜、監視船が密漁船らしい船を追いかけ、そのときその密漁船からモリが飛んできて、その辺にささったんだそうです。
船長なのか船員なのか知りませんけど、短気な人だったようで、頭にきてそのモリを密漁船めがけて逆に投げ返したそうです。
それが何と、密漁者の足にささってしまい、大怪我。
過剰防衛とか何とかいう理由で告訴され、現在係争中とのこと。
そのモリを投げ返した人の話によれば、何も狙ったわけではなく、狙っても当てることはできないとのこと。
揺れている船から船へ、手で投げ当てる確率は非常に低い。
モリを投げられ、それを投げ返してどこが悪いのか、という言い分もわからないわけではありません。
密漁者から告訴されるってのもおかしな話で、これはずっと語り継がれるのではないでしょうか。
間抜けな密漁者もいるものですね。
特に漁師の人は、アワビのいる場所とか、そういう自分で見つけたことを、得意がってあまり他言しないようにしましょう。
自分のためにも。
(2003年5月13日)
沿岸漁業の基本は地先海面優先主義
先月、釜石沖のアカイカ(ムラサキイカ)漁で、大目流し網の船団と、漁場が一緒になりました。
彼らの岩手沖合いの許可は8月31日までで、その後は陸地から50マイルより内側で操業禁止となっています。
誰の迷惑のなるのでもないならば、そんな規則はどうでもいい規則なわけで、しかし、他の正式な漁業と競合するならば、その漁業に漁場を譲り、規則は守られなければならないものです。
今回はイカ釣り漁業と漁場が重なったため、いろいろと問題になりました。
というより、、実際は、地元のイカ釣り船の泣き寝入りとなっています。
流し網は大体夕方3時か4時ごろに網を入れ、夜中から朝にかけて網を揚げているようです。
イカ釣り船は調査しながら、夕方5時から6時ごろにパラシュートアンカーを入れて操業に入ります。
つまり、イカ釣り船が調査する前に、すでに網が入っているわけで、調査もままならない状態で網を避けて操業します。
このようなことは許可上、規則上、本末転倒状態で、どうして地先海面で地元漁業者が自由に操業できないのか、不思議な事態になっています。
(2003年10月11日)
エチゼンクラゲ
11月19日、福井市で、日本海大型クラゲフォーラムが開催されました。
フォーラムでは、(独)水産総合研究センター日本海区水産研究所の飯泉仁日本海海洋環境部長が、基調講演「エチゼンクラゲに関する知見」を行い、その後、全体討議もなされた模様です。
週刊「水産新聞」からの転載です。
生態
飯泉部長によると、分類はビゼンクラゲ科エチゼンクラゲ属。ミズクラゲなどと同じ仲間で、それから推定すると寿命は約1年。傘は茶褐色で直径は通常60〜80cmだが、2mに達することも。重量は50〜150kg。
生活史は、雄雌別の親からの精子と卵子で受精して浮遊幼生(プラヌラ期)になり、硬い岩盤の上で着底生活(ポリプ期)したあと、1mm以下ぐらいの小さなクラゲの形の幼生(エフィラ期)になって海中で浮遊。それが変体して大きなクラゲに成長。餌は動物プランクトン主体と考えられ、触手に付着させて捕食。ミズクラゲとほぼ同じ生活史と思われる。
夏から秋に急激に成長し、対馬暖流に乗って日本海沿岸に来遊すると考えられている。
運動は水温20度以上で活発となり、15度以下で活力が低下して死滅するといわれるが、10〜12度でも生きた例がある。棒カギなどで裂かれれば、遊泳能力を消失し底に沈んで餌がとれなくなり、そのまま死ぬと想像される。
毒性は、他のクラゲと同様に刺胞毒を持つが、その毒性は弱い。ただし、素手で触手をさわらない方がよい。エチゼンクラゲに刺された魚については、刺胞毒が外皮外側の数μにとどまり、通常は可食部まで達しない。毒が弱いうえ、熱に不安定であることから、刺された魚の外皮を食べないかぎり心配ないと思われる。
また、全体討議での「日本海クラゲの研究者」の発言によると、クラゲは傘の周辺に8つの感覚を持ち、その感覚の回りにある神経網が傘の中央に向かって伸びている。8つの感覚で体の平衡をとり、明暗や音に反応する。エチゼンクラゲの卵は水温2,3度でも死なない。
出現
飯泉部長によると、日本海では1920年以降、約20回の大量出現が記録されている。58年には津軽海峡を経由して太平洋に入り、噴火湾など北海道沿岸から千葉県の犬吠まで来遊。
95年は東シナ海あるいは朝鮮半島南西沿岸水域で大量発生し、山陰沖に形成された大きな暖水塊に滞留して9月に各地の沿岸に押し寄せ、北上して津軽海峡を抜け太平洋側にも出現したと推定されている。
山口〜宮城の14府県の報告によると、昨年は8月に島根、鳥取、兵庫、京都、福井、石川、新潟、山形の各府県沿岸に来遊。9月には富山、秋田、の両県と青森県日本海側に広がった。10月には青森県の津軽海峡と太平洋、岩手県の沿岸全域まで達し、11月には宮城県の北部からさらに南下。来遊終息は、京都と岩手が12月ころ、鳥取、兵庫、秋田が1月、富山が2月。死んだクラゲが福井では1月まで入網し、新潟でも底曳網に12月から2月にかけ大量に入った。
今年は、8月の上旬に島根、中旬に兵庫と石川、下旬に山口、京都、福井に来遊。9月に入ると上旬に鳥取、中旬に富山と新潟、下旬に山形と拡大。秋田、青森、岩手は10月上旬から。宮城は11月中旬ころからとなった。
95年は定置網など沿岸中心の漁業被害だったが、昨年は底曳きなど沖合の被害が多く、出現は95年より約一ヵ月早かったことになる。今年は昨年に比べ、出現時期の遅れた府県が大半で、出現数は兵庫県が「若干少なめの印象」、石川県は「外浦海域(能登半島の西側)で多いよう」、秋田県は「とくに沿岸部でかなり多い」とみている。
飯泉部長は今年の来遊について「暖水塊が去年より西に偏り、暖水塊と能登半島との間の山陰・若狭沖冷水塊がかなり南を通って張り出した。その間を対馬海流の第二分枝が南下して接岸するような構図となり、これに乗り若狭沖に大量のクラゲが来遊。9月21日、22日に太平洋沖を通過した台風の影響で、クラゲが沿岸まで寄り、それ以降、各地の定置に急に入りはじめた」と推定。
(2003年12月1日付「水産新聞」8面)
今年の岩手県沿岸では、定置網の被害がものすごく大きいようで、鮭の水揚げにかなりの影響を及ぼしました。
クラゲが多すぎて、ただ網を解放した日が何日もあった模様。
私などもイカ釣りで、岸よりにアンカーを入れて操業していると、エチゼン君が流れていくわ流れていくわで、針が、そのエチゼン君の中を上がってきて、どろどろしたものの切れ端を、船の中に入れてしてくれます。
針が団子になったのを直したりすると、そのクラゲが手に付き、今度はその手も洗わないで顔なんかを掻いたりなんかしたら、しばらくその部分がかゆく、最後にはかさぶたになって、皮膚が変色してしまいました(色男がもったいない?)。
定置網の網人たちは、その十倍以上大変らしい。
顔が腫れたり、頭が腫れたり。
12月23日現在、まだたくさん泳いでいます。
それにしても過去にさかのぼれば、意外にも、エチゼン君の歴史は古かったようですね。
勉強になりました。
(2003年12月24日)
加筆
エチゼンクラゲに関する詳細は
http://www.jsnf.affrc.go.jp/
に行けばわかります。
掲示板で、yamaさんより、エチゼン君の加工輸出の提言がありましたが、そのことについて、以下に転載しておきます。
エチゼンクラゲの食品利用では、福井県立大の赤羽義章教授が「塩クラゲを作る技術は確立しているが、東南アジアで安く生産され完成品として輸入されており、量的にも価格的にも難しい」との見方を示した。中央水研でも「東南アジアから完成品として7,000トンから10,000トンを超える水準で輸入され、需要は満たされている」とした。民宿で提供される京都府の例から地域産品としての加工は期待されたが、量産は困難と判断。
(2003年11月24日付「水産新聞」)
ということで、輸出はとても無理なようです。
(2003年12月26日)
漁業無線が危ない
漁業無線は主に短波帯を利用していて、特に27MHz帯は、超基本的な周波数帯です。
その短波帯に、「何でもIT主義」から脅威が差し迫っています。
電灯線インターネット、という言葉を耳にしたことがあるかと思いますが、電灯線の短波帯周波数利用により、その漏洩電波が通常の短波利用に影響を及ぼすというものです。
短波帯は、漁業無線のほかに、短波ラジオなどたくさん利用されています。
漁業無線については、船間でのやりとりでは問題ないと思います(海上の船まで届くような漏洩電波ならば、はっきり言って使い物にならない)が、陸上局との通信で、もし多大な影響が出るならば、それは大変な問題で、緊急時の連絡などに支障をきたすからです。
この問題を指摘した北川勝浩大阪大学大学院教授の文章を転載します。
問題が再燃した発端の「e-Japan戦略U」
内閣の「IT戦略本部」は、我が国が2005年に世界最先端のIT国家となることを目指して、2001年に「e-Japan戦略」を策定した。この中で、電力線を利用したブロードバンド並のインターネット接続、いわゆるPLC(Power Line Communication)の導入について触れられていたのだが、これが短波帯に悪影響を及ぼすのでは、と大きな波紋を呼んだ。各方面から反対の声が上がったため、このまま下火になるものと思われた。
が、第2弾として2003年7月に策定された「e-Japan戦略U」に「高速電灯線通信の推進」が盛り込まれたため、PLCを巡る動きが再び活発化している。「e-Japan重点計画2003」では、「無線通信や放送等への影響について実用上の問題の有無をできるだけ早期に検証するため、2003年度中に無線通信に影響を与えない方法で、漏洩電波低減技術に関する実験を実施できるよう措置する」とされ、法令改正案とそれに対するパブリックコメント(以下、パブコメ)の結果が公表された。
確かに高速電力線通信を使えば、電源コンセントがすべて情報コンセントとなって家庭内の情報ネットワークが簡単に接続でき、家電製品やパソコンのインターネットへの接続も容易になるだろう。しかし、電力線に数十Mbpsもの高速の信号を通すと、電力線から短波帯の電波が漏れ出して、短波放送や通信に混信を与えてしまう危険が高い。このため、短波利用者は問題に無関心ではいられない。高速電力線通信を巡るここ1〜2年の動きを、短波受信者からの観点でまとめてみよう。
ブロードバンドを狙う新たな電力線通信
既設の電力用配線を使った低速PLCは昔から存在しており、放送や通信に妨害を与えないように、450KHz以下に制限されている。今、問題になっているのは、これをADSL並に高速化してインターネット接続に利用する高速PLCである。2〜30MHzを使って数Mbps〜数十Mbpsの通信を行うシステムが開発されており、新たな配線をすることなしに家庭まで一気にブロードバンド化するというのが、謳い文句である。
しかし、電力線はADSLの電話線よりも伝送路として劣悪であるし、ましてやシールド効果はない。そこで問題になるのが、電力線からの漏れ電波である。
電波は人類共通の貴重な資源であり、混信を避けて有効に利用するために、その使い方やルール(無線通信規則)が国際連合の専門機関である国際電気通信連合(ITU)によって定められている。そして短波帯はITUによって放送や無線通信に割り当てられ、ほぼ隙間なく使用されている。短波利用者が強い懸念を持って反対しているのは、高速PLCそのものではなく、高速PLCからの漏洩電波による妨害なのである。
妨害電波への措置は国際的な義務である
しかし、電力線の高周波特性は個別の設置状況に大きく依存するし、どんな状況でも絶対に妨害を与えない高速PLCというのはあり得ない。たとえ妨害を与える確率が低くなったとしても、本質的な問題は残る。このような免許を要しない高周波設備からの妨害は、被害者側からその原因・加害者を特定する手段が全くなく、事実上、回復不可能(泣き寝入り)となってしまう。また仮に原因が特定されても、加害者の責任の自覚がなければ、解決は著しく困難である。
多数のPLCの漏洩電波の総体による妨害の場合、事態はさらに深刻だ。このような危険性をはらむ製品を広く一般家庭に普及させれば、短波帯がなし崩し的に使用不能となることは想像に難しくない。漏洩電波の問題を解決しない限り、高速PLCに未来はないだろう。
ITUの無線通信規則では第15条で混信について定めているが、その第12項は主管庁に、電力線や通信線を含むいかなる電気設備も無線通信に有害な干渉を与えないことを保障するため、必要な措置を取ることを義務付けている。無中継で国際通信が可能な唯一の周波数資源であり、大災害や武力紛争など危機的状況において最後の命綱となり得る短波帯を、PLCの漏洩電波で使用不能にして良いはずがない。(以下省略)
(「ラジオライフ」2004年2月号p34)
一応引用はここまで。
記事によると、このPLC短波帯利用に反対する人たちは、ハム、BCL、電波天文学者、警察庁、防衛庁、海上保安庁、国土交通省などです。
で、パブリックコメントのことが引用中にありましたが、そのコメント総数676件のうち556件が反対で、82%にも及びます。
それにもかかわらず「e-Japan」の修正は、全くなされなかった模様です。
実はここにも開発者と企業の思惑があるんじゃないかなあ、と思うような記事が載っています。転載します。
2003年7月25日の日刊工業新聞によると、電力会社や経済産業省、慶応義塾大学の村井純教授と武藤佳恭教授の働きかけによるものという。
そういえば、東洋通信機が慶応義塾大学と共同で光の2倍の200Mbpsの高速PLCを開発したというニュースで、東洋通信機の株価がストップ高したことがあった。そして前述の武藤教授は『週刊新潮』でPLCの放送への影響を、「電波漏洩の問題が万一起きても、原因の電波だけ止められるのです。電力線搬送が無線やテレビに影響を与えるとは全く思えませんが」と否定している。
(前掲書p36)
漏洩電波を止めることによって、この200Mbpsの速度は本当にでるのだろうか?と筆者(北川教授)は疑問を呈しています。
さらに、セキュリティの問題や家庭電化製品遠隔制御の安全性に対する問題も指摘されています。
確かに家庭電化製品を電灯線インターネット、あるいはLANで遠隔制御できるのは便利なんですが、その誤動作が怖い。
ただの作業でもハングアップ(フリーズ)してしまうマイクロソフトのOSでは、他の機器を信頼して制御するには不安過ぎます。
たとえ、Linuxでもそうです。
実は今のLinuxも多機能になりすぎ、やはり機能不全に陥ります。
OSが落ちる、ということはありませんが、各ソフトを動かしているとどうしてもソフトが動かなくなることがあるのです。
Linuxの場合、UNIXの知識の豊富な人は対応できますが、私の場合はそれなりのバカなので、できません。
独力でソフトの動作不安定に対応できない、ということは、WindowsでもLinuxでも同じで、そのような理由で私の場合は使い慣れたWindowsを使っているわけです。
Windowsはソースコードを明らかにしてませんから、本当はLinuxを勉強すればいいんでしょうが、そこまで普通の人は暇じゃないでしょうし、私のようなバカもたくさんいると思います。
そんな人間が全面的にパソコンを信用するということは、極めて危険なわけで、便利さの追求のあまり、事故が起きたら取り返しのつかないことになります。
そこからの結論は、PLCはそれほど必要性はない、ということです。
さて、先ほどの記事が掲載されていたラジオライフに、海外のPLCのことも書いています。
日本で高速PLCが使えないのは、規制緩和が遅れているから、という論調がある。しかし、問題は規制の有無ではなく、妨害の有無である。欧米各国では既に商用化が始まったという報道もあるが、実態は限られた地域での試行サービスであったり、既に撤退したケースも多い。イギリスでは、BBC、軍を含むすべての短波利用者が反対しているし、一部でサービスが行われたドイツでは、雑音が大きいとして反対が起こっている。アメリカでは、FCCがPLCに対する規制緩和を臭わせたところ、ARRL(日本におけるJARL)、放送事業者、SWL(短波受信愛好家)などから反対を受け、撤回した。PLCのお膝元であるイスラエルでも、無線関係者は反対している。
(前掲書p37)
記事中のFCCは米国連邦通信委員会、JARLは日本アマチュア無線連盟のことで、海外でもPLCは不評のようです。
漏洩電波の計測もこのあとの記事に紹介されていて、やはり影響はかなりあるようです。
なお、これらを極めたい人はこちらのサイトをご覧ください。
HF-PLC Watching Site
(2004年1月6日)
付加価値?
これからの漁業や農業は、新たな付加価値をつけてやっていくべきだ、という有難い?御進言をマスコミなんかから提示されますが、漁業とは、水産物を獲る、あるいは養殖する、であって、加工、販売が本業ではありません。
農業はわかりませんが、少なくとも魚類を獲る漁業の最高の付加価値は、高鮮度であること。
これ以上にもこれ以下にも付加価値は存在しないのではないか、と私は思っています。
それを示す行動を挙げればキリが無く、HACCPなどがいい例でしょう。
養殖漁業となれば、貝類は高鮮度、海藻類は高品質。
最近、私が少し獲っている「どんこ」という魚が、宮古市を中心として、注目されはじめています。
以前、「みやこわが町」サイトのトップページに、「宮古下閉伊どんこ料理の店発表会」の写真が載っていたりして、宮古市の飲食店の中には、「どんこ料理」の旗を掲げていた店もあります。
「どんこはうまい」ということは、漁師仲では昔から知られた話で、どんこ汁、ハタキはどんこ料理の代名詞でもありましたが、ハタキを寿司ネタに用いたのもごく最近のことです。
どんこ料理のこのようなうれしい騒動は、漁業者にとって非常に追い風となります。
単発的に個人レベルで開発していた人はいましたが、地域の飲食店が一丸になって、どんこに付加価値をつけようとした試みは、今回が初めてではないかと思います(いや、寿司関係で確かあったかもしれない。ただし、その時はどんこという名前はなかった)。
どんこという魚は、グロテスクな風貌から敬遠されがちですが、顔を見ると非常に愛嬌があります。
身は非常に柔らかく、刺身にするのは難しく、ゆえ、ハタキが簡単に生で食べられる料理法なのです。
また柔らかいがゆえ、みそ汁も魚の取り扱いに注意しないと、身が溶けてしまいます。
タラ類より柔らかいですから。
でも、基本的にタラと同様に扱えば、刺身も作れないことはありません。
10年くらい前までは、どんこは「ついでに」水揚げしていた魚です。
夏などは半分ぐらい捨ててきたものです(夏のどんこは、キロあたり5円とか10円で仲買人もしかたなく買っていた)。
それが今や、どんこを狙って漁獲するようになってきました。
さて、本題の付加価値ですが、その道のプロがこのように付加価値を創造してくれれば、漁業者も潤うわけです。
これをもし、漁業者が、魚の加工、料理までして、販売するとなると、まず体がもちません。
時間も足りなく、事業化するころには、あの世に行ってしまうでしょう。
また、なんでもかんでも(←これみやこ弁?)漁師がやってしまったなら、プロたちのほうも困るわけです。
というより、本気になった加工、料理のプロと競争したら絶対に負けますから、これを考えれば、漁師の領分ではないのです。
漁業者は飽くまで高鮮度の魚を獲ること、高品質の海藻類を収穫することが、使命なのです。
加工法、料理法などの付加価値創造は、どんこのハタキを良い例として、漁業者に恩恵をもたらします。
それゆえ、漁師の側もそのような日常の食べ方を飲食店などに飲みに行って、自慢してきてください。
どんこ料理の知名度が上がれば、少しは地方が活性化されるかもしれません。
どんこは極端な大漁を除けば、生産地あるいは生産地近郊でほとんど消費しますから。
宮古に来れば確実にどんこ料理が食える、というイメージが行き渡れば、もしかしてどんこを食べたい一心で、宮古に来るかもしれませんね(そんなことがあるだろうか?)。
(2004年2月10日)
漁協合併
今朝の報道では、2007年度末に岩手県下の漁協が全部合併し、「県一漁協」になるらしいです。
来年度末までには、宮古漁協は重茂漁協と合併します。
田老漁協は小本浜漁協、田野畑漁協と。
実は数日前からこのことは知っていたんですが、公表されるまでは一応控えておきました。
宮古、重茂、田老、小本浜の4漁協は、県下でも有数の優良漁協で、地元漁民のためを考えるなら、単独でやったほうがいいのです。
大きくなればなるほど、地区の意見というものは通りにくくなりますから。
しかし、お国の指導のもとに、各自治体などの合併が勧められていて、漁協合併も例外ではありません。
その背景には財務状況が最悪の漁協がたくさんあって、その救済を図るための合併であり、すなわち、合併の大まかな推進理由は、困っている漁協をみんなで助けよう、ということです。
「万人は一人のために、一人は万人のために」
これは漁協の何かのスローガンとなっていて、確かに素晴らしいスローガンです。
しかし、これが曲者でして、じゃあ、「一生懸命頑張っている者が、怠け者まで助けなきゃならないのか?」という普通の疑問が湧き上がってきます。
「財務状況の悪い漁協、すなわち倒産寸前、あるいは倒産していてもおかしくない漁協の責任というのは、どこで追及されるべきか?」という問題もあやふやなままです。
それらの漁協内では、責任の押し付け合いもやっているという噂も聞きます。
そのような漁協と合併させられる優良漁協は、当然その合併は嫌なわけで、その辺に漁協合併が進まない原因があります。
このまま責任追及なしに合併すれば、その合併漁協の役員の責任も非常に軽いものとなります。
それでも役員報酬はしっかりもらっている。
組織が巨大になればなるほど、負債を抱えたときの責任は、誰も取りません。
せいぜい辞めるくらいのもので、その例は国会が良い例です。
このように責任の軽い役員ならば、誰だってなろうとするでしょう。
ですから、合併するに際し、負債の大きい組合は必ず責任追及はしなければなりません。
私は「負債の責任を全部かぶれ」と言っているわけではありません。
「まったくの“お咎めなし”というのはおかしいんじゃないか?と言っているのです。
これはすべての団体、企業に言えることですが、全部負債を償えというのは死ねといっているようなもので、たとえ責任を追及されるべき人がいくら頑張っても、償えないものは償えません。
逆に全額免責なら、みんな会社経営をやって良い思いだけしようとしますから、その免責分をどれぐらいにするか、ということを考えるべきです。
そうすれば、先ほど書いたような無責任役員は生まれなくなるでしょう。
本当は、全部そうなんですが、負債が大きくならないうちに、潰すところは潰して、新たな漁協を作るとか、あるいはその地区の近隣の漁協に加わるとかしていれば、こんな合併などしなくてもよかったのです。
潰すということは、経営側はタダでは済みませんし。
それを半端に助けようとするから、取り返しのつかないくらいに負債が大きくなるんです。
また、金を借りる側の免責というものをしっかり設定していれば、失敗してもその責任分を償えば当事者はやり直しができるわけです。
これこそ、敗者復活戦のできる社会と言うことができるでしょう。
やり直しのできる社会というのは、逆に考えれば、おのおのが失敗を認めやすい状況が生まれ、その失敗による負債も大きくならずに済むことにもなります。
当然、不正隠しも少なくなるでしょう。
今の敗者復活戦のない社会では、一度の失敗は致命傷ですから、みんな隠すんです。
非常に暗い社会ですよね。
一生緊張して生きていかなくちゃならない。
これじゃ、頭がおかしくなります(この敗者復活戦のない日本の社会の指摘は「日本経済を考えるヒント」に書いてあります)。
ということで、漁協合併には私は反対です(前からそうですが)。
合併するなら、限定免責付きの責任追求がなされることが絶対条件です。
(2004年2月19日)
HACCP
水産物の取り扱いにおいて、HACCP(ハサップ、ハシップ)という横文字が頻繁に使われるようになりました。
HACCPとは食品衛生管理システムです。
このシステムは、もとは米国で宇宙食の安全性を確保するために開発されました。
HACCP以前は、出来上がった製品の一部を検査することによりその安全性を調べていましたが、HACCPは原材料から加工・包装・出荷・消費に至るまでのすべての段階で衛生管理する方式です。
魚市場に水揚げする段階までの衛生管理が、HACCPにおける漁業者の責任と言えます。
今のところ、このHACCP基準を満たすことは強制ではありませんが、地方ごとの漁協、市場、あるいは魚種ごとにHACCPを導入しています。
ちなみに、今、私が獲っているイサダはHACCP基準を満たしていません(満たせっていうほうが無理です)。
地方によっては地域HACCPと称して実践しているとことがあります。
代表的なものが北海道の標津町のもので、標津町地域HACCPで紹介してあります。
まあ、そんなに厳格に衛生管理されているわけではありませんよ。
とにかく魚の鮮度を最優先にし、衛生管理については、はっきり言えば、必要最小限のことはしっかり守りましょう、ということです。
衛生管理を厳格にするとなると、そりゃあキリがありませんから。
ちなみに標津町の地域HACCPは平成11年からとなっていますが、定置網漁船の船倉の水温管理なんかは、宮古魚市場管内の定置網漁船のほうが取り組みが早く、そんなハイカラな名前は誰も言わなかったし、ただ知らなかっただけだと思います。
こちらとしては、鮮度維持というごく普通の要求に答えて取り組んだものなのです。
標津漁協のHACCPって何だ?って、「水産新聞」のその記事を読んだら「な〜んだ、そんなこと、こっちではずっと前からやっているよ」って思ったことを記憶しています。
当然宮古魚市場でもHACCP方式の衛生管理魚市場ですし、県内各魚市場もそうだと思います。
床に直接魚を置いてはダメ、タバコもダメ、市場の入り口には殺菌水の入った靴洗い用の小さいプールを設けるとか、いろいろな規則があります。
HACCPという横文字にすると、ホント大げさに聞こえますが、最低限の鮮度維持、衛生管理のルールなんです。
こんなもの、本当は常識の範囲内なんですけど。
で、今後はこれらをさらに極めようという取り組みが出てくるかもしれません。
特に衛生管理の方で。
陸上では鳥インフルエンザなどで、いろいろ騒ぎが大きくなっていますが、微生物や細菌までも管理しようとするとなると、漁業では、はっきりいって無理です。
もともと人間の体には微生物がたくさん付いているでしょうし、魚だって鮭などは魚の表面にはたくさんの虫だって付いてます。
また、干物を見てください。
魚の干物って美味しいですよね。
あれ、衛生管理基準を厳しくすれば、全部食べることはできません。
新巻鮭なんてもうダメでしょう。
あれ?そうなると干し昆布とか、海苔とかも?
宮古湾の養殖のカキについても、生食用に滅菌処理したのものは美味しくないですし、滅菌処理しない加工用を生で食べたほうがずっとうまい、ってことも以前書きました。
衛生管理の基準をただ厳しくすればいい、というものではありません。
赤ん坊はその辺に手をついては、口に手を持っていきますし、また、いろいろなものを口にして、舐めたりします。
あれって、雑菌に対する抵抗力をつける役割もあるんだそうです。
そんな理解のない母親はいませんよね(たぶん)。
もともと人間には細菌類に対する抵抗とか免疫とかを備える能力があるんでしょうから、それを利用しない手はない。
個人差も確かにあるでしょうが、あまりのきれい好きもどうかと思います。
そんなわけで、魚の衛生管理には限界があり、それを過ぎると、まずいものばかり食う破目になるかもしれない、ということです。
もちろん鮮度維持を怠るということは論外です。
週刊水産新聞に少しおもしろいコラム「ちょっと待った」があったので紹介します。
題名は「HACCP仕掛け人は?」です。
世の中おかしくなってきた。BSEにサーズ、そして鳥インフルエンザ・・・。次はなんだべか。
われわれ水産食品を製造する加工業者は、消費者が求める安全・安心を満たすために殺菌装置を入れたり、従業員に衛生教育をしたり・・・と、HACCPとはいかないまでも金を掛けて対策を打っている。
HACCPが出始めのころは、米国のナサの宇宙食の衛生管理基準だということで、何で一般の食品にまでそんな基準を導入しなければならないのか、と疑問に思ったものだ。それと、人間をバイ菌に対して弱くするものだと怒りも感じた。
ゼネコンがこぞってHACCPに参入したのは、公共事業の減少を見越したためと言われたが、ゼネコン対策で誰かがHACCPを仕掛けたのかと勘ぐったりもした。
いずれにしても、おかしなウイルスなどが出てきて食品は受難の時代を迎えた。コストが掛かる衛生対策に国は有効な補助金を一層手厚くしてほしい。(道内の加工業者)
(2004年3月15日付「水産新聞」3面)
ここにもゼネコンの思惑があるのですか。
初めて聞きましたよ。
まあ、何にしても、陸上から海中まで汚染されてきて、その上、人間が弱くなってきた、ということなのでしょう。
このHACCPを詳しく知りたい方はhttp://homepage3.nifty.com/takakis2/haccp.htmを訪問してみてください。
これはたまご博物館というサイトにあり、衛生管理のことがいろいろと載っています。
海の中にウイルスが蔓延しないことを祈ります。
(2004年3月19日)
水産物貿易自由化と資源管理問題
2001年11月にカタールのドーハで開かれたWTO第4回閣僚会議で、水産物は「非農産品市場アクセス交渉」の対象とされた。GATTウルグアイ・ラウンド当時から水産物は「非農産品」で、これまでIQ(輸入割り当て)を守ることができたのはそのためだともいえる。
農産物については関税化が原則。これによって貿易規制の姿を透明化し、自由化に向けた交渉をしやすくするのが狙いだった。ウルグアイ・ラウンドでは、IQ品目だったコメの関税化=輸入自由化を迫られた。
ウルグアイ・ラウンド農業合意で、日本のコメについては特例措置が認められたが、その代償として「ミニマムアクセス(最低輸入義務枠)」をのまされた。輸入枠を毎年増やさなければならない約束で、どんどん増えていった。結局、IQを撤廃し関税化することになった。
ウルグアイ・ラウンド当時、日本のほか韓国とEUに水産物IQ制度があり“仲間”だった。しかし、その後、両者とも撤廃し日本にもIQ撤廃を求めている。水産物は「非農産品」とされているがゆえにIQを守ってくることができたが、現在は“仲間”がいない。(中略)
これまでの交渉で、関税の削減や撤廃が議論されているが、そもそも日本は関税削減に努めてきた。水産物の関税は4%という低さ。
低い理由は、戦後、貿易を再開した当時、日本は輸出国だった。食糧を確保する必要もあり、輸入を恐れていなかった。生鮮10%、加工調製品20%という関税率でスタートし、ラウンド交渉を重ねるごとに下げて4%にまでなった。
この間、ものすごく苦労し汗をかいてきたことを主張したい。いまだ関税率が高い国と、すでに低関税率の国がある中で一律の撤廃は不公平。日本の関税引き下げは限界だ。先進国としてどこまで許されるかという問題はあるにせよ、柔軟性が必要だ。
昨年5月と8月にジラール交渉グループ議長が提案した分野別関税撤廃の中に、水産物が含まれていることも受け入れられない。韓国と台湾も反対しているが、米国とカナダ、ニュージーランド、アイスランドが支持している。
また、水産物に関するWTO交渉では関税引き下げなどの「非農産品市場アクセス交渉」のほか、漁業補助金などについての「ルール交渉」も行われている。
WTOルール交渉グループ会合では、米国、豪州、ニュージーランドなどの「フィッシュグループ」が「反漁業」NGOの後押しを受けて漁業補助金の規律強化を求めているが、日本と韓国はこれを阻止する対応。
EUは漁船建造補助金の今年末廃止を決定するなど、過剰漁獲を解決するための規律強化に理解を示している。
(2004年5月31日付「水産新聞」13面)
最初に引用しましたが、水産物の関税って、たった4%だったんですね。
意外に低い関税で、これじゃ、保護しているとは言えません。
私たちの小型漁船漁業では、安値=大漁+輸入、という等式から、安くてもあきらめムードでして、しかし、政府に何かしてもらおうという気はさらさら起きません。
日本は他の輸出産業で、富を海外からいただいているわけで、低関税でもしかたがないかなあ、と思っています。
各国が水産物に関して、完全自由化せよ、というのなら、自由化してもかまわない。
それほどすでに打ちのめされているので、今さら「保護」と言われても、ピンときません。
商社が自分たちの都合のいいように輸入しますし、彼らは「地産地消」というスローガンをゴミみたいに思っているでしょう。
完全自由化するなら、年に1%ずつ関税を下げていって、水産関係者に猶予を与えるようにするとか、国内の漁業者にも配慮して自由化するほうがいいかもしれません。
4年で完成です。
ところが、よく考えると、そうもいきません。
資源管理問題があります。
国内では資源管理していますから、国内生産量というのは、今後極端に増加するということはないでしょう。
輸入もそれほど変化がないなら、値段はそこそこに安定します。
ところが、輸入が完全自由化されれば、資源管理していない国からの輸入は脅威となります。
その国を便宜上、A国とします(アメリカじゃないですよ。本当にテキトー)。
A国であまりにイカが獲れすぎて、A国内でイカの値段が大暴落したとします。
A国内でどうしてもさばけないから、金満日本へ安値で輸出すれば、在庫処分できて、A国の冷凍事業者や漁業者は利益を得ます。
ところが、日本はスルメイカを漁獲制限していますから、いくら大漁でも、制限量以上は獲れません。
輸入でイカ類が安くなっていて、その安値をカバーするために漁業者の側はたくさん獲りたい。
が、できない。
そんな状況が生まれてしまいます。
これじゃ、とてもじゃない。
ご飯食えない。
そこでこんな状態にならないように、やはり完全自由化というのは、認めることはできないんです。
少なくとも、TAC制度導入魚種、その他資源管理を厳格にやっている魚種に関しては、完全自由化を拒否すべきです。
国内の供給量が少なくなる時があって、つまり不漁となる年などは、そりゃあ、消費者のことも考えて、輸入を増やすことには賛成です。
これはしかたがないことだと私も思います。
そこで国内需給を見据えたIQ制度を維持すべきでしょう。
これは論理的に正しいと思います。
先ほどのA国でも、獲り尽す漁業をやっていれば、いずれ資源は減ります。
そうなった時のA国内の水産関連業は、衰退していくことでしょうから、A国にとっても良いことではありません。
また、今後の地球上の食糧確保を考えると、資源管理型漁業というのは、重要な位置づけとなってきます。
一部の、そして一瞬の利益のために、何でも自由化というのは、許されるものではないと思います。
WTOの各会議において、日本は、以上のメカニズムを説明し、完全自由化を阻止すべきです。
また、その代償は、日本の輸出産業に向けられるかもしれませんが、今まで漁業を犠牲にしてきた代償だと思って、大企業群は私たちに一歩譲るべきだと思います。
それにしても、引用した記事の最後のほうに、「反漁業」NGOがあるというのは驚きです。
びっくりですよね。
また、EUに「漁船建造補助金」というのも驚きですね。
そんな補助金があるからこそ、日本への輸入も安上がりになるんでしょう。
「日本にも漁業補助金があるだろう」というお叱りを受けるかもしれませんが、少なくとも、零細な漁業者にはそんなものはありません。
制度として、間接的にはあるといえばありますが、オカの上の人たちに比べれば、かわいそうなくらいです。
(2004年6月5日)
ウニが安いと思うわけ
今年は順調にウニを食べました。
私はウニで太ってしまいます。
それにしても、ウニは手のかかる割りに安いですね。
一人でやっている人はウニを獲らずに、オカ仕事をして、賃金をもらった方がいいという人もいるくらいです。
ウニの値段は、初漁の頃は、前年と比較すればまあまあと言われていましたが、それでもこれほど美味しいものを安値で売るなら、食べた方がいいと思うほどです。
もしかして、他の漁師の人たちがその方向へ動くならば、宮古には今ほど生ウニの地元産が出回らなくなるかもしれません。
いや、殻付ウニに全部転換されるかもしれませんね。
今はやっているのかどうかわかりませんが、10年くらい前には、ヤマト運輸で殻付ウニの販売をやっていました。
その辺の魚屋さんなどでは、注文発送する場合、すでにメジャーな販売方法です。
殻付ウニになると、消費者としては、割高になると思います。
手間がかかるし、高い。
確かにむき身のウニも高い(?。買ったことないので知らない)でしょうが、しかし、すぐに食えます。
さあ、どっちをとるのでしょうか。
消費者の中には、生鮮水産物を口に入れるまでの手間を嫌がる人がたくさんいます。
重茂で漁船漁業をしていた人が、ひょんなことで宮古市の比較的山の方で、コンビニのような食品店を経営し始めました。
最初のころは、例えば自分の船で獲ったスルメイカを、そのまま販売したそうです。
当然バリバリの鮮度ですから、売れそうなものですが、それほどでもない。
そこで、刺身にして店頭に並べたら簡単に売れる。
そんなことを聞いてますから、ウニはどうでしょうか?
このウニは漁業者が製品として売り出すまでには、ホント手間がかかり、その割に値段は高くないと思います。
今は衛生上も問題が社会問題となっていますので、ウニをむく時の水も殺菌水を使用し、この暖かさの中でその水温も気にしなければならず、しかもウニの身にも小さなワタなどが付着しています。
それを箸などを使ってきれいに取り除くわけで、むいたウニは洗浄してビン詰めにして出荷します。
それに比較し、殻付ウニは、獲ったものをそのまま売ればいいですからねえ。
ものすごく簡単です。
手間がかからず、しかも鮮度抜群!
(殻付ウニは身入りが悪いと、消費者はかなり損をします。漁業者は獲った場所でウニの身入りがわかりますから、もし殻付で全量販売となると、生産者明記の販売とすることが前提となるかもしれません)。
重茂地区の漁師さんに言わせると、ウニは磯焼けのもとですから、どんどん獲ってある程度減らし、アワビを増やしたほういい、と言います。
アワビこそ、獲ってそのまま出荷でき、しかもものすごく高価です。
アワビに比べるとウニなんてバカくさい。
ただ単に対労働効果(労働=費用なら、対費用効果)を考えれば、アワビ>ウニで、重茂漁師さんの言い分は納得できますね。
私とすれば、アワビよりウニのほうが美味しいと思いますけど、価格というのはそんなものには左右されないようです。
その背景に、ウニの輸入量の大きさに原因があります。
平成15年度の殻付ウニの輸入実績は全部で、11,822トン。
内訳は、ロシア産10,940トン、北朝鮮産407トン、カナダ産249トン、アメリカ産222トン、中国産3トンで、輸入港はすべて北海道です。
以上のデータは2004年5月24日付「水産新聞」からです。
一方、国内の生産量は岩手県水産技術センターで紹介しています。
下記のリンクで直接行けます。
http://www.pref.iwate.jp/~hp5507/engan/uni.htm
国内生産量も輸入量とそれほど変わらず、殻付で平成10年に13,653トン。
北海道が半分を占めていて、岩手は長崎に次いで3番目ですね。
長崎というのは意外な感じがしますが、ウニは種類こそ違えど、どこでも獲れます。
私は学校終わりたての頃、南太平洋の小さな島国バヌアツに行ったことがあり、そこにはトゲのかなり長いウニがいました。
現地の人に私は「うまそう」と言ったら、「dangerous」って言われました。
あの国ではウニは食べないのかなあ、とか、毒のある種類なのかなあ、と当時考えましたが、毒のあるウニなんて聞いたことがありません。
以上からわかるとおり、ウニは世界中どこにもあり、他の漁業者が私のような感覚で「ウニは安いから食べたほうがいい」となると、むき身の地元産は出回りにくくなる可能性があり、殻付ウニへの転換があるかもしれません。
私とすれば、「殻付でもいいから、どうしても食べたい!」という消費者ばかりになることを願います(笑)。
今まで私が獲ったウニの数→1個(ホントです。笑)。
(2004年6月6日)
アサリの被害
昨日は金浜で、宮古観光協会主催(たぶん)で、「宮古潮干狩り」というイベントが行われました。
漁業者がアサリを四苦八苦して獲っているのに、イベントに参加した市民が簡単にアサリを獲れるのはなぜでしょう?
そう、主催者がアサリを買って、指定海域にアサリをまいているからです。
それによって、参加者は「大漁だ!」と喜んで、帰っていきます。
喜ぶというのを考えると、やはり「獲る」ということ、すなわち「狩りをすること」は、人の本能のうちの一つなんでしょうか。
アサリは潮干狩りで獲るもので、そのため潮位の周期を勘案して、宮古漁協で口開けの日程を決めます。
前半は宮古浦(磯鶏、高浜、金浜、津軽石、白浜)の漁業者だけで、後半は一般市民にも開放となります。
宮古漁協では、アサリ放流事業というのをやっていて、また漁業権海域でもあるので、どうしても漁協組合員優先となります(しかも鑑札を買って採捕します)。
後半は、やはり宮古市民にも海辺に住んでいる恩恵を感じてもらおうという主旨(本当は知りません。勝手に書いています)で、一般市民に開放します(当然タダではありません)。
今年になって漁協のアサリ事業に問題が起こりました。
まあ、毎年起こっているんですけどね。
例えば、大時化でアサリが流されたとか。
で、今年のは、あのブラックバスに共通するものです。
外来種によるアサリの被害です。
アサリ漁場では、毎年アサリは産卵しています(たぶん)。
しかし、圧倒的に獲る量のほうが多いため、漁協では、毎年アサリの稚貝を買ってきて放流しています。
そのアサリの稚貝に、外来種のツブの卵なのか稚貝なのか(とにかく肉眼では見えないものです)知りませんが、いっしょに入ってきたらしく、そのツブが同じ海域で育ち、アサリを死に追いやっています。
聞いた話ですが、このツブはアサリを包み込んで、中身を食べるらしい。
本当かどうか知りませんが、とにかく今までこの辺で見たことがないツブ(写真)です。
アサリの稚貝は、国内(宮城県の松島あたりらしい)から買ってきており、その宮城県でも同様の事件が発生していると聞きました。
宮城県の漁協でも、実は海外から稚貝を買ってきたという話もあり、その時に外来種のツブが国内に入ったのでしょう。
今のところ、想像の域を出ないことしかわかりませんが、ブラックバスと違う点は、故意でないということ。
それにしても、零細な漁業者のため、そして市民のためにやっているアサリ事業の継続で、思わぬ敵を侵入させたということは、自然に皮肉を示されたと言うほかありません。
やはり自然には逆らえないということでしょうか。
(2004年6月7日)
加筆
bunbukuさんから、このツブはツメタガイではないか、との指摘があり、調べてみたら、これが外来種ならサキグロタマツメタガイではないか、ということです。
以下のリンクにありました。
http://homepage2.nifty.com/research/asari-sakiguro.htm
ツメタガイには、和製(在来種)もあります。
http://kabuse.y7.net/food/tumetagai.htm
(2004年6月28日)
加筆U
リンクサイト「第二きんのり丸です!」に「童話ひがたろう」がありまして、これがわかりやすい絵本となっています。
ついでに「第二きんのり丸」さんからは、以下のリンクを紹介していただきました。
http://www005.upp.so-net.ne.jp/sanbanze/san056.html
こちらも参照願います。
http://www005.upp.so-net.ne.jp/sanbanze/misuno01.html
(2004年7月7日)
魚を食べれば長生きする
らしいです。
これは、新潟市で9月1日に開催された新潟海洋国際会議の分科会で、倉田忠男新潟薬科大学応用生命科学部教授が指摘したことです。
「週刊水産新聞」から引用します。
倉田教授は「人の健康における農林水産物の役割」というテーマで話した。
この中で、40歳以上の成人約27万人に17年間追跡調査、公表されている結果を紹介。「魚介類を毎日摂取している人たちに比較して、ほとんど食べない人たちは明らかに死亡率が高いという」「魚を毎日食べている人はアルツハイマー病などによる死亡率が有意に低いことも明らかにされた」と説明。
また、今年1月に発表された約1万人近い日本人を19年間追跡調査した結果では「男性で魚を食べるのが週1回未満の人の死亡する危険度を1とすると、2日に1回の人では0.7と約3割程度のリスク軽減がみられ、食べる回数が多いほど軽減。心筋梗塞や脳梗塞で死亡する危険率も魚を頻繁に食べる方が低い傾向がみられるという」と述べた。
魚の示すこうした健康への効果について「魚にはドコサヘキサエン酸(DHA)やエイコサペンタエン酸(EPA)などの高度不飽和脂肪酸(PUFA)が多く含まれ、これらのPUFAが動脈硬化や心筋梗塞の予防に役立ち、日本人の長寿に寄与していると考えられる」として、そのメカニズムなどに言及。
倉田教授によると、魚の摂取が及ぼす心臓・血管系疾患への影響はかなり以前から知られ、魚肉を中心とした食事が心臓病患者に延命効果を示すことは1970年代に報告されていた。その後、疫学的調査や研究が行われ、しだいにその全貌が明らかにされた。EPAから生成されるプロスタグランジンI3は血小板凝縮抑制作用や血管拡張作用を示し、魚油中のn−3系PUFAは血清脂質や血圧の低下作用を示す。
炎症、免疫への影響では、n−3系PUFAの投与がガンの発生を抑制する効果のあることが動物実験で認められているが、そのメカニズムは完全には解明されていない。DHAが学習など脳の機能の向上作用をもつ可能性が指摘されており、ラットではその有効性が確認されている。
倉田教授は魚介類に多く含まれるタウリンの生理作用も説明。浸透圧の調整、膜の安定化、抗酸化作用などのほか、コレステロール低下や血圧降下などの作用もあるとされているという。「タウリンはコレステロールの分解物である胆汁酸と抱合してタウロコール酸となりその一部が排泄されるため、コレステロール代謝に関与すると考えられる」とした。
倉田教授は「これからも、この水産物を巧みに利用してきたわが国独自の伝統的食文化を大切にするとともに、そのうえに築かれた日本型食生活を積極的に推進し、21世紀における日本人の健康の維持・増進に役立てていくことが重要」と締めくくった。
(2004年9月6日付「週刊水産新聞」8面)
漁業者としては、うれしい記事ですね。
これで魚の購買意欲が高まれば、単価も少しは上がるでしょう。
ところで私の周辺では、「心臓が悪い人は贅沢なものばかり食った人」ということが通説です。
この「贅沢なもの」は「肉」の意味なのでしょう。
魚にも贅沢品はあり、すなわち高価な魚、たとえば毛がにや初漁の頃の秋刀魚とか、高級な生マグロとか。
漁師なら、こんなものは当たり前のように食べていて、イマイチ「贅沢なもの」とは言えませんから、やはり「贅沢なもの」=「肉」です。
かの小沢一郎代議士は心臓が悪いとかいった頃がありましたが、彼もたぶん肉ばかり食べてあのようになったのでしょう。
せっかく魚菜王国岩手(←古いかも?)からの選出なんですから、肉だけじゃなく魚も食べてほしいものです。
記事からはボケ防止にも効くらしいですし、DHAで頭も良くなるようです。
?
でも頭が良くなるんなら、漁師の家の子供はみんな頭が良さそうなものですが・・・。
(2004年9月7日)